Department of
Chemistry and
Materials
Engineering

学科紹介

バイオ分子化学コース
人工臓器のための体への負担の少ない素材を開発!
臓器移植から再生医療の時代へ。医療技術の進歩を支える。
バイオ分子化学コース 画像イメージ
バイオ分子化学コースについて
生命現象に関するあくなき探求の結果、生体内の様々な分子の構造と機能が次々と明らかにされてきています。このような生体由来分子は元来自然界を循環する低環境負荷型の物質であり、人間にとっても害の少ない安全な物質です。したがって、これらの分子を物質生産、医療、環境保全、エネルギー変換などの分野へ利用することは、今世紀において望まれる環境調和型社会の実現に大きく寄与するものと考えられます。
本コースの教育プログラムについて
バイオ分子化学コースでは、化学の観点から核酸、酵素、多糖などの様々な生体由来分子のもつ多彩な性質の解明とその応用とともに、新しい機能と優れた物性をもつ生体関連分子やそれらの模倣分子の設計と創製、新規材料への応用を目指し、化学生命理工学部が中心理念とする『地球社会における「もの」と「いのち」の共生を図る科学技術の開発と創成』に関わることができる人材の育成に主眼をおきます。そのために、1年次から演習を伴った授業で化学の基礎学力の充実を図ります。2・3年次に配当した生物に関連した化学系科目を学ぶことにより、化学の視点に立った生体由来分子についての理解を深め、3年次秋学期の特別演習および4年次の特別研究への移行をスムースにしている。さらに、大学院博士課程との接続・一貫性を考慮して、化学をベースとした高度技術者・研究者の育成基盤体制も装備しています。

本コースで取得できる資格には、理科(中学一種、高校一種)、工業(高校一種)の教員免許があり、技術士、甲種危険物取扱者、甲種消防設備士、毒物劇物取扱責任者、火薬類保安責任者等の受験資格が得られます。卒業生は、医療器具・医薬・食品などのバイオ産業、環境・エネルギー関連業、素材関連業、各種化学工業、半導体・電子デバイス関連製造業等の広範な分野で活躍できます。
バイオ分子化学コースの特色
タンパク質、核酸、多糖などの生体分子の構造や機能を学び、それらに基づく新しいサイエンスとテクノロジーで、医療や環境などの先端領域に貢献する能力を養います。特に、化学に立脚したバイオ分子化学コースの教育プログラムと最先端の研究によって、世界に通用する一流研究者の育成を目指します。
バイオ分子化学コースの研究例
  • 核酸の構造に倣って設計したポリマーによる骨のターゲッティング

    「生体に倣い、生体を超える」ポリマーバイオマテリアルの開発を行なっています。通常、人工的に合成された材料は生体から異物として認識されてしまいます。そこで、もともと生体に存在する分子の構造に学び、合成化学的な手法を組み合わせることにより生体適合性に優れたマテリアルを創出しています。最近は生きた細胞を究極の素材と捉え、がん免疫治療や再生医療に有効な技術の開発にも挑戦しています。

  • たんぱく一分子を摘まんで閉じるDNAオリガミペンチ

    40億年にも及ぶと言われる生命の歴史の中で、ただひたすら遺伝情報を伝える役割を担いつづけてきたDNAは、化学の目を通して見れば、非常に便利な「ナノサイズの材料」でもあります。ATGCの四文字で書き込まれた情報を厳密に判別して、非常に整った右巻き二重らせん構造をつくるDNAの性質を活用しながら、医療に役立ちそうな機能性材料や、未来を担う分子ロボットなどを開発しています。

  • 医療に利用できる賢い材料

    医療に利用できる賢い材料

    外界の変化に応答する賢い材料(インテリジェント材料)は新しい医療材料として期待されています。これまでに病気のシグナルとなるタンパク質を見つけて体積変化するゼリー状物質(ゲル)の合成に世界で初めて成功しています。これらの成果は世界最高峰の学術誌(Nature)に掲載され、独立行政法人科学技術振興機構の予算によって研究が実施されました。現在、このようなインテリジェントゲルを利用して新しい診断システムやシグナルに応答して薬を投与するシステム(ドラッグデリバリーシステム)の開発にも取り組んでいます。

  • 生分解性ポリマーによる組織再生

    生分解性ポリマーによる組織再生

    再生医療は、患者の細胞やどんな細胞にでも分化できるES細胞などを用いて、生体組織を再生する試みです。組織再生には細胞増殖のための足場が必要で、その足場は組織再生に伴って分解・吸収されなければなりません。そこで、生体組織と同様なしなやかさを持ち、狙った速度で分解・吸収される生分解性ポリマーを合成し、これを足場とした組織再生に取り組んでいます。臓器移植で問題となる拒絶反応を伴わない臓器の再生を可能にする研究にチャレンジしています。

学科紹介